ニュースの概要

東南アジアの格安航空会社が、中東情勢に伴う燃料高の打撃から立ち直りつつあるものの、利益の薄さに苦しんでいる。直近の決算では、AirAsiaとCebu Pacificが最終赤字となり、Singapore Airlines傘下のScootも営業赤字が膨らんだ。各社は燃料費の上昇分を運賃に上乗せしようとしたが、需要が価格に敏感なためか、十分な効果は出なかった。LCCは大手のフルサービス航空会社に比べて費用の中で燃料が占める割合が高く、原油価格の動きがそのまま収益に響きやすい。回復の兆しと赤字が同時に存在する、不安定な局面が続いている。

引用元: 東南アジアの格安航空会社、燃料高で収益圧迫が継続(Gulf Times)

分析・見解

燃料費の比重が高いLCCは、値上げ分を吸収しきれない

LCCの強みは、座席を詰め込み、機材を毎日長時間飛ばして一席あたりの費用を下げる点にある。その結果、費用の中で燃料が占める割合は、大手より高くなる。人件費や空港使用料を削る余地は限られているため、燃料が上がると削れる場所が少なく、損益に直撃する。

燃料は航空機の運航で最も大きな変動費である。たとえば原油が1割動けば、LCCの営業利益率は数ポイント単位で上下しうる。もともと利益率が一桁台の会社が多く、わずかな変化が黒字と赤字を分けてしまう。

運賃に転嫁できないのは、客が価格だけで選ぶから

本来、燃料が上がれば運賃も上げればよい。だがLCCの客は、同じ路線で数百円の差を見て予約を決める人が多い。値上げすると、すぐに競合や大手の割引運賃へ客が移る。東南アジアは短距離路線が密集し、ライバルが多いため、一社だけが値上げする戦略は成り立ちにくい。

ここで一つ、見落とされやすい点がある。運賃そのものを上げにくいLCCは、手荷物や座席指定、機内食といった追加料金で稼ぐ割合を高めてきた。つまり燃料高は、「基本運賃は安いが、総額は上がる」という形で、旅行者の見えにくいところに現れやすい。

燃料ヘッジの差が、各社の決算を分けた

大手の航空会社は、先物取引などで燃料価格を事前に固定する対策(=ヘッジ)を広く行う。一方、LCCは財務体力の差から、固定する範囲が会社ごとにまちまちである。同じ燃料高でも、事前に安く確保できていた会社と、市場価格をそのまま払った会社では、赤字幅が大きく違ってくる。今回、AirAsiaとCebu Pacificが最終赤字となり、Scootが営業赤字を広げたのは、こうした備えの差に加え、為替や金利負担も重なった結果と読むのが自然である。

さらにScootは大手グループの一員として、機材や販売網を共有できる強みがある。それでも赤字が出たことは、独立系LCCにはより厳しい環境であることを示す。

今後は路線の絞り込みと、収益源の多様化が進む

今後の焦点は二つある。一つは、採算の悪い路線を減らし、需要の強い路線に機材を集中させる動きである。もう一つは、貨物、会員制サービス、決済や保険の販売など、運賃以外の収益を育てる動きである。燃料価格が落ち着いても、競争の激しさは変わらない。燃料高が一服した後に、どの会社が体質を変えられたかで、次の数年の勝ち負けが決まるだろう。

ビジネスへの影響

出張・団体旅行は「総額」で比べる習慣をつける

基本運賃が安く見えても、手荷物、座席指定、支払い手数料を足すと、大手の割引運賃と変わらない場面が増えている。出張の手配担当者は、見た目の運賃ではなく、荷物や変更条件を含めた総額で比較したい。社内の旅費規程も、「最安運賃」ではなく「総額の上限」で書き直すと、現場の判断がぶれにくくなる。

欠航・減便に備えて、代替手段を決めておく

採算が悪い路線は、予告なく減便されたり、運航日が絞られたりする可能性がある。重要な商談や、日程を動かせない旅行では、乗り継ぎや大手の便への振り替えを、あらかじめ決めておくとよい。返金や変更の条件も、予約前に読み込んでおく。

個人旅行者は、早めの予約とセール時期の見極めを

LCCは、燃料高の分を運賃に乗せにくいため、セールの回数は減らさず、対象座席を絞ることで調整することがある。狙う路線が決まっているなら、運賃が安い早めの時期に押さえる。直前の安さを期待しすぎない方が安全である。当サイトのLCC比較や手荷物ルールのページも、予約前の確認に役立ててほしい。

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